懐かしく、少し胸がギュッとなる思い出。
ばあちゃんとの思い出といえば、これがナンバーワン。
まだ花粉症という自覚がなかった子供の頃。
春になると、なぜか無償に目がかゆくなり、鼻水も止まらない。
我が家は、春休みなど長期休暇になると、山形県の田舎にあるばあちゃん家に行くことが決まりになっていた。
理由もわからず、花粉症が発症した幼い僕は、泣きながらばあちゃんに目がかゆい時グズった。
ばあちゃんは今で言うドヤ顔で僕に言った。
「水で洗えば治っから!」
当然治るはずもない。
僕はひたすらに冷水で目を洗い流した。
余計悪化した。
ばあちゃん、余計かゆくなったよ!
「そんなはずはねぇ。お前の洗い方が悪かったんだべ」
ばあちゃんは笑いながら言った。
毎年そんなやりとりがあった。
大きくなると、少しずつばあちゃん家に行く頻度が減った。
僕は花粉症という自覚をし、水で目を洗うこともなくなった。
ばあちゃんは100歳でなくなった。
最後の方はもう僕を見ても僕だと分からなかった。
火葬時、僕はばあちゃんの娘たち、つまり僕のおばちゃんたちとこの花粉症の話をして笑ってた。
火葬後のばあちゃんの骨は赤子のように小さかった。
僕とおばちゃん達は膝をついて号泣した。
うららかな春は、少しひんやりする思い出を運んでくる。